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大阪漫遊記 延長戦
2008/10/20(月)
「大阪漫遊記 延長戦」


〜大阪漫遊記 延長戦〜
ここからは〜大阪漫遊記 延長戦〜をお送りします。
その前に1つ前の記事を見てない人はまずはプロローグからお読みください。





〜大阪漫遊記 延長戦〜




「頑張れ!頑張れドラゴンズ!」


ありがとう。阪神ファンからの想いはしっかりと受け取った。
志半ばで無念の敗北を喫した阪神のためにもドラゴンズは必ず読売を倒さなければならない。
「よし!また明後日からも忙しくなりそうだ・・・」
そう呟き、バックスクリーンの大時計に目をやると時刻は21:30。
やばい。早く帰らないと名古屋行きの新幹線最終に乗り遅れてしまう。
名残惜しいがいつまでもこうしちゃおれん!急いで帰ろう!と足早に京セラドームを出ようとすると、一緒に来ていた友人がこう言った。


「え?ユニフォームはそのまんまで行くの?」

いやいや何を言う、それは当たり前だろう。
この大熱戦を一人のファンとして現地で真剣に応援した証こそがこの汗ばんだユニフォームである。それを何故脱ぐ必要がある?
私はナゴヤドームの試合ではドラゴンズが勝とうが負けようがいつも必ずそうしている。何を今更・・・
そう思った瞬間、ハッとした。






ここ大阪だ!



そう言えば、かつて関西のドラゴンズファンからこんな話を聞いたことがある。
「こっち(関西地区)で阪神戦を観に来るなら帰りは絶対ユニフォーム脱いだ方がいいですよ。」
「周りは阪神ファンだらけだから何されるかわからないですし。」
くぅ・・忘れていた。さっきの「頑張れ!ドラゴンズ!」の暖かい声援で思わずほがらかになってしまっていたが、
”血に飢えた虎党”の存在がまだこの場所には大勢いることもまた事実だ。
しかも今日なんて虎党のフラストレーションの針が振り切っている最悪の状況。この界隈で暴動が起きても何ら不思議ではない。
く・・やはり、ここは安全策をとって脱ぐか・・。何と言っても無事に帰宅してこその楽しい遠征だ。
そう思い、ユニフォームの第1ボタンに手をかけた瞬間・・・


いや、違う!


何を恐れる必要がある?何を恥らう必要がある?
私は大好きなチームを精一杯応援した。ただそれだけだ。その証を身にまとう事にイチャモンを付けられる筋合いは全くない。
ドラゴンズは正々堂々と戦って勝った。私も正々堂々と勝利を信じて応援した。
オレは中日ファンだ!何か文句あっか!そう思ったとき私の中で何かが吹っ切れた。
私は外し掛けた第1ボタンをキュッと締めなおすと友人に告げる

堀 「もし危険な目にあったらそん時はゴメン。やっぱオレは脱がないよ。ってか脱げない。」

友 「えぇー別に良いけど、じゃあ離れて歩いて」

堀 「うぐっ・・・」



京セラドームのゲートを出るとそこにはやはり帰路に着けずたむろしている虎党の姿が大勢見受けられる。
苦悶の表情を浮かべる者、うな垂れる者、殺気立つ者・・・・様々な姿がそこにはあったが、今一つだけはっきりと言えることがある。
どう考えてもこの場所は良い治安状態ではないという事だ。
逃げろ!絶対に黄色い縦じまの人とは目を合わすな!そう叫んで私は足早に駆け出した。


駆け出すこと数分。ここまで一体何人の虎党とすれ違ったことだろう・・
全部が全部怖い人達ではないのはわかっているが、何故か全員に睨まれている気がする。
「ごめんなさい・・ごめんなさい・・・ホント勝っちゃってごめんなさい」
例のセリフを呪文のように呟きながら駅までを駆け抜けるが・・駅が遠い。おぃおぃ来る時こんな遠かったか?と思うぐらい遠い。
まるでシューベルトの名曲「魔王」を彷彿とさせるような緊迫感に満ちた私の激走はいつ終わるとも無く延々と続いた・・・・・


そして・・・やっとのことで命からがら駅まで辿り着いた。
暗い夜道を歩んできたせいか、地下鉄の駅が照らす灯りは密林の中のオアシスのような安堵感を与えてくれる。
とりあえずは・・一安心か。そう思い改札を潜る。
しかしホームまでの階段を下りると駅のホームでは黄色いユニフォームを着ている人々がこれでもかというぐらい目に入り、その黄色が示す通りすべての阪神ファンが”危険ランプ”に見えてしまう。
一方、安全を示す”青ランプ”は・・・見たところ近くにはない。
まぁそりゃそうだ。試合後の応援歌の合唱を途中で切り上げてここにいるのだから、ドラゴンズファンの大半はまだレフトスタンドにいる。
しかしまぁ、暗い夜道を激走してきたさっきの状況と比べれば明るいだけ大分マシである。
さすがにここで絡まれることはないだろう。そう思いホームの壁に崩れるように寄りかかると、背後から声が

「・・・中日ファンの人です?」


・・・おいおいおい。マジか。勘弁してくれ。まさかここに来て虎党に絡まれるとは!
しかも向こうから話掛けてきている以上、無視するわけにもいかない。あぁ、もう逃げきれん。
「はぁ・・そうですけども・・」もうすべてを諦めたようなか細いで返事をしながら振り向くと・・・
そこには金本のユニフォームを着た40代後半ぐらいの人の良さそうなおじさんの姿があった。

セーフ!

このおじさんは絶対”セーフの方”の阪神ファンだ!負けた腹いせに殴られたりは絶対しない!
安心してそのおじさんの話を聞くと、明後日からの東京ドームのチケット(土曜の試合)を既に取ってしまったのでまだ持っていないようだったら譲りたいという事だった。


おっちゃん良い人!マジ、良い人!

セーフどころかホームランだよ。おじさん。
しかし、あいにく私は金・土・日の東京ドーム3試合のチケットを既に抑えてしまっている。
おじさんが阪神の勝ちを信じて疑わなかったのと全く同じで、私もドラゴンズがここで負けるとは思ってない。
しかしまぁなんというか自分の応援するチームが行けるかどうかもわからない不確定なチケットをお互いのファンが予めきっちりゲットしているあたり、
「ホントお互い自分のチームが大好きなんですね(笑)」というなんとも微笑ましい会話が繰り広げられた。
和んだ。かなり和んだ。
やはり阪神ファンは良い人達ばかりだ。
さすがにこの人の良さそうなおっちゃんが「トリタニィ!!!中日なんかボコボコにしてまえ!!!」と叫んでる姿は想像出来ないし。いや、実はそうなのかもしれないけど。
まぁ真剣にそして常に熱く応援する姿勢は尊敬に値するし、私が思う一つのファンの理想像でもある。
熱狂が度を過ぎるファンはあくまで一部である。もしかしたらホントの阪神ファンというのはこのおっちゃんみたいに和み系の人達の集まりなのかもしれない。




だが、恐怖を忘れかけた時・・・事件は起こってしまった。


私はもうすっかり安心しきって今日の試合を思い返しながら地下鉄に揺られていた。
しかし新大阪まであと4駅という所で電車のドアが開くと・・・どう見てもアウトな方の虎党のおじさんが乗車してきた。
短く刈り込んだ角刈りに薄めのサングラス。服装は縦じまのユニフォームとラッパズボン。
混雑していたのでよく確認できなかったがラッパズボンにはベルトの代わりに何か細い紐のようなものが括りつけられている。
さらにユニフォームの上下には至る所に「愛」「命」「抹殺」などなどの過激なデザインの刺繍が施されている・・・
(ここで来たか・・・)
一目瞭然とはまさにこのこと。もうどう考えても関わってはいけないタイプの人だ。
私は電車の隅の方に寄りかかり目線を右下に落とす。
(ちくしょう・・なんでこんな人の目の前でオレはドラゴンズのユニフォーム着てんだ!)
(ファンの証とかより命の方が大切に決まってんじゃねーか!)

そうブツブツ呟いていると・・・その怖いおじさんは私の方へとツタツタと近づいてくる。
血に飢えた虎が一歩また一歩と私の視界に迫ってきているのだ。
・・気のせいだろ?・・うん、気のせいに決まってる・・・そうそう・・気のせ・・というか気のせいじゃない事ぐらいわかっとるわ!もう完全に!明らかにこっち来とるわ!


 「なぁ・・兄ちゃん中日ファンやんな?」

あぁ・・死んだ。ホント死んだ。


 「あ・・はい。ご覧の通り中日ファンです。」(ごめんなさい。中日ファンでごめんなさい)


 「ちょうど良かったわ。探しとったんや。中日ファン」


 (・・・あぁ。殴るためですね。そうですね。)


 「自分、次、東京行かへんの?東京ドーム」


 「え!?・・あ。はい。誠に申し訳ありませんがちゃっかり行かせていただきます・・・。」


 「だったらこれ持ってってくれや。これ」

!!?

おじさんはラッパズボンの腰に巻いていたヒモをスルスルと解きだすと、ヒモの先にグルグル巻きで巻き付けられていた何か人形のようなものを私に手渡してきた。














 「・・・・・・」


 「オレはなぁ、ホンマこいつ(ジャビット)が憎ぅてな、いつも腰に括り付けて引きずり回したっとんねん。」


 「・・・あ・・はい。」


 「にぃちゃん頼むわ、オレの代わりにこれ東京に持ってってくれへん?」


 「・・・・・・・・・・」

   「・・・・はい。」
  ←って言うしかない



 「約束やからな!ホンマ頼むでぇ!読売倒してくれな!」


 「わ・・・わかりました。」



・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・・・・


え・・・・・・


オレがやんのぉ!!!!!!!!




金・土・日の東京ドーム巨人戦。第3戦、第4戦、第5戦にて、
どう見てもやりたくなさそうに、ジャビット人形を引きずっている男の人がもしいたら・・・・私です。声掛けてください。というか助けてください。



大阪漫遊記  完

このお話は悲しいぐらいに全て実話です。
23:58 | 今日の中日| トラックバック:0 | コメント:11

阪神は素晴らしかった
2008/10/20(月)
10月20日(月) 京セラドーム

○ 中日 2 − 0 阪神

「阪神は素晴らしかった。」





阪神ファンのみなさん、勝っちゃってホントすんません。


阪神タイガースは強かった。素晴らしいチームだった。
クライッマックスシリーズという舞台で戦うにあったって全く申し分のない相手であり、
ドラゴンズにはない本物の”資格”を持ったチームだったように思う。
そして、そのチームを支えるファンも素晴らしかった。
私自身、この2日間の大阪遠征で阪神ファンに対する今までの考えを改める必要があるように感じた。


今までの阪神ファンのイメージといえば、悲しいことに決して良いものではなかった。
ナゴヤドームでの試合は毎回ファン通しの小競り合いは日常茶飯事、さらには暴力事件で警察沙汰になることもしばしばあった。
その他にも同じ”野球ファン”とは思えないような、神経を疑う行動も沢山あった。
一昨年は山本昌がノーヒットノーランを達成した試合でグラウンドに大量のメガホンを投げ込み、試合後にはナゴヤドームの壁を破壊して帰っていった。
昨年は試合中盤まで好投していた川上がシーツの放ったピッチャーライナーを顎に喰らいベンチに下がっていく姿に対して、レフトスタンドの阪神応援席からは大歓声が起こった。
私にはこういった行動は理解出来ない。
普通、ケガをした相手選手に対して歓声を挙げるか?大記録達成のグラウンドにメガホンを投げ込むか?
しかもこれは一人二人がやっていることではない。大勢の人間が”阪神ファンとして”やっている事だ。
「正直なところあまり関わりたくない。」
今まではそんなイメージを抱いていた。
しかし、今日の試合後こんな事があった。





ウッズの決勝ホームランで劇的な勝利を収め、歓喜に沸くレフトのドラゴンズビジター応援席。
選手たちを讃える応援歌はいつまでも終わることなくドラゴンズファンは皆、会心の勝利の宴に酔いしれていた。
すると、試合終了後も残っていたライト側の阪神応援団が太鼓を叩き始め、ライトスランドからは思いもよらぬ合唱が起こった。







「頑張れ!頑張れ!ドラゴンズ!」

「頑張れ!頑張れ!ドラゴンズ!」



今までは関わりたくない存在として敬遠していた阪神ファンからのまさかの労いの言葉に思わずハッとした。
考えてみればこのコールはそうそう簡単に出来ることではない。
ペナントレースを独走し優勝確実といわれた状況を最後の最後で巨人にひっくり返され、監督が自らの辞任を表明して悲壮の決意で臨んだクライマックスシリーズで、
あろうことかロクに優勝争いもしなかった3位のチームに敗れて1年が終わってしまうという無念たるや想像しただけでも悔し涙が溢れてきてしまいそうだ。
そんな想像を絶する苦痛、理不尽な現実をすべて押し殺して、敗れた3位のチームに「オレたちのぶんも頑張れ!」と果たして自分だったら言えただろうか・・・
うーん・・・なんとも言えない。いや、たぶん私には出来なかっただろう。
ライトにいた何百人という阪神ファンの誰もがそれぐらい悔しくて悔しくて悔しくて、胸が張り裂けそうな想いにも関わらず、
「ドラゴンズ頑張れ!読売を倒してくれ!」と私たちを送り出してくれたのだ。
そういった”本当の阪神ファン”たちの痛切な想いが確かに心の奥に伝わった。


私は今日考えを改める。阪神ファンは横暴で非常識なファンばかりではない。
あくまでそういったファンは一部だ。まぁ・・結構多いけど、あくまで一部だ。
阪神ファンの中には良識あるファンがその何十倍、何百倍もいる。
そんな多くの野球ファンたちと共に今日の素晴らしい試合を観戦出来たことを私は誇りに思う。
阪神も強かった。中日も強かった。阪神ファンも素晴らしかった。中日ファンも素晴らしかった。
決して馴れ合いではない”本物のノーサイド”が確かにそこにあったのだ。


第1ステージを勝ち抜いた今、もはや背負っているものは自軍の勝敗だけではない。
さらなる決意と多くの人々の無念を背負って、クライマックス最後の地東京へと物語りは進む・・。
23:16 | 今日の中日| トラックバック:0 | コメント:4
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